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人工知能とはつまり?人間と共存するAI開発のために知っておきたい仕組み
人工知能(AI)は社会のなかでますます身近な存在となっています。しかし同時に、人工知能を有したロボットに人類が支配されるというストーリーも古くから語られてきました。
現在、あらゆる場面で人工知能が活用されていますが、実際に人工知能について正しく理解できている方は意外と少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、人工知能の歴史から開発手法、活用方法にいたるまで、人工知能の基本的な内容について紹介します。この記事を最後まで読んでいただくことで、人工知能の存在意義や人間との共存について理解できるはずです。
目次
いまさら聞けない基礎知識【人工知能の分類】
【学習と思考】人工知能と自動化システムの大きな違い
人工知能に似たシステムのなかに自動化システムがあります。自動化システムはこれまでもあらゆる分野・用途に利用されており、一見しただけでは人工知能と同じような挙動を見せるものも多いことから両者は混同されがちです。人工知能と自動化システムの大きな違いは以下の通りです。
- 自動化システム:明確な規則に従って作業する
- 人工知能:学習して思考する
上記の内容についてもう少し詳しく解説していきましょう。
1.自動化システムについて
従来のシステムである自動化システムは、主にソフトウェアや機械などのプログラミングに活用されてきました。身近な例でいえば道路の信号。一定間隔の時間で赤・青・黄を点灯させたり、歩行者がボタンを押したばあいは強制的に自動車用の赤信号を点灯させたりといった明確なルールが決められています。
ソフトウェアのプログラミングにおいても、道路の信号ほど単純な仕組みではないものの、特定の条件によって動作が定義されており、決められたルール以外の動作は決して実行するわけはありません。
また、自動化システムはデータを収集したり加工したりといった作業も可能ですが、集めたデータをもとにコンピュータ自身が考え、理解するといったことはできません。
ちなみに、専門家の経験やデータなどをコンピュータに蓄積し、特定の条件をもとに判断・実行する仕組みをエキスパートシステムといい、これも自動化システムの一種です。エキスパートシステムを構築するためには専門家の膨大なデータを取り込む必要があるため、多額のコストが必要となります。
2.人工知能(AI)について
人工知能には、あたかもコンピュータ自身が考えているかのような動きをさせることが可能です。
先述した信号機の例を挙げるとすれば、渋滞の状況によって信号の待ち時間をフレキシブルに変えることも技術的には可能です。事故の発生や何らかのイベントがあったとき、特定の道路だけが車で渋滞しているケースは少なくありません。このようなイレギュラーが発生したばあい、信号の待ち時間を短縮し渋滞の緩和も実現できます。
また、複数の信号機から得られる情報を総合的に判断し、赤信号と青信号の時間を調整することで、トラフィックの最適化にもつながるでしょう。
このように、人工知能は機械が学習することで推論を導き出し、問題解決に向けた結論を出すことも可能です。まさに人間の頭脳と同じような働きをするシステムといえます。
機械学習と深層学習
AIを知るうえで欠かせないのが機械学習と深層学習です。それぞれの学習方法にどのような違いがあるのか、活用できる分野の一例も併せて解説します。
機械学習
現在のAI研究において盛んなジャンルのひとつが機械学習です。あらゆるデータを機械に取り込み、学習させることで予測ができます。店舗における売上予測やニーズ予測など、マーケティング領域で活用されています。
深層学習(ディープラーニング)
機械学習の発展形ともいえるものですが、決定的な違いはコンピュータが自ら学習していく点にあります。人間の脳細胞に近いニューラルネットワークとよばれる構造を用いて処理が行われ、従来の機械学習よりも高い精度でデータ出力が可能になります。深層学習は現在もっとも盛んに研究されているジャンルであり、自動運転システムなどにおいては欠かせない仕組みです。
強い AI と弱い AIの違いは?人工知能の分類
人工知能は「強いAI」と「弱いAI」に分類されますが、現在、人工知能として研究されている分野の多くは弱いAIです。
1.「強いAI」と「弱いAI」の違い
人工知能研究は、なにを目的に開発を進めるのかによって「強いAI」と「弱いAI」のどちらを研究すべきか変わってきます。
人間のような知能を持つ機械(強いAI)を作ろうとするのか、または、人間が知能を使う作業の一部を機械にさせようとする(弱いAI)のか、どちらの役割を前提とするのかによって研究者としての立場も変わってきます。それほど、強いAIと弱いAIには大きな違いがあると考えなくてはなりません。
まず、強いAIとは「汎用人工知能」とよばれているものです。アニメーションや漫画などの世界において高度な知能をもったロボットが描かれることが多いですが、汎用人工知能とはまさにこれを想像していただけると分かりやすいと思います。何か特定の目的や役割を持たせるのではなく、人間の頭脳に近い人工知能であるため汎用人工知能とよばれています。
これに対し、弱いAIは「特化型人工知能」とよばれています。従来のコンピュータやプログラムをさらに進化させ、特定の目的の範囲内でのみ人間の思考に近付けるといったものが特化型人工知能の特徴です。冒頭でご紹介した信号機にAIを活用するといったものも弱いAIの典型的な活用例といえるでしょう。
現在の人工知能研究の多くが弱いAIであるのは、さまざまな産業に応用することで生産性の向上が期待されているという理由があるためです。
2.弱いAIの研究ジャンル
人工知能の研究のメインとなっている弱いAIですが、実際にどのような研究が行われているのでしょうか。いくつかの事例とともに紹介していきましょう。
・音声認識
人間の発する言語をコンピュータが認識する処理を音声認識といいます。人間とスムーズなコミュニケーションをとるために重要な役割を果たす研究ジャンルといえるでしょう。活用事例としては、Siri、Googleアシスタントなどをはじめとした音声アシスタントが典型的です。
・画像認識
写真や画像、映像などのデータをもとに判断する処理です。工場における生産ラインでの不良品検知、スマートフォンでの顔認識機能などが活用事例として挙げられます。音声認識が人間の耳に相当する部分だとすれば、画像認識は目に相当する部分と考えることができます。
・言語処理
テキストや文書のデータをもとに、文字の羅列が何を意味しているのかを判断するための処理が言語処理です。言語処理を応用することで、たとえば膨大なアンケートデータの中から要約した意見の集計が可能になります。言語処理は人間の言語に相当する部分といえるでしょう。
・感情処理
テキストや音声、表情などから感情を読み取る機能が感情処理です。対話型ロボットのコミュニケーション機能などに応用することができ、人間の感情を理解するためには必要不可欠な処理です。
・推論/探索
過去の事例や類似データなどをもとに、考えられる可能性を推察する機能が推論/探索です。「Alpha GO」が囲碁で人間に勝利したニュースが話題になりましたが、このようなゲーム対戦機能などに活用できます。
このように、弱いAIの研究ジャンルは多岐におよび、いくつかの複数のジャンルを組み合わせて実用化が検討されることがほとんどです。
世界の人工知能と人間との関係性を考える
人工知能発明の歴史と3つの人工知能ムーブメント
人工知能研究には第一次から第三次までの3つのブームが存在し、現在は第三次人工知能ブームにあたります。それぞれのムーブメントについて詳しく紹介していきましょう。
上記の表にまとめたように、人工知能は過去に2度ブームがやってきては衰退してきたという歴史があります。しかし、ブームがやってくると同時に確実に技術も進化し、それまで抱えていた課題をクリアしているのも事実です。
人工知能第三の波「ディープラーニング」について
ブームと衰退を繰り返してきた人工知能の歴史において、2000年代から現在まで続いている第三次人工知能ブーム。じつはこのブームの裏にはディープラーニング(深層学習)技術の隆盛がカギを握っています。ディープラーニングこそが第三次人工知能ブームの立役者であるともいえます。ディープラーニングの技術についてくわしく解説していきましょう。
ディープラーニングとは
機械学習における技術のひとつであるディープラーニングは、ビッグデータなどのデータの集合体から機械が自動的に学習し、特徴を見出して結論を導き出します。
人工知能の第二次ブームの際にニューラルネットワーク技術が登場しましたが、これをさらに進化させたものがディープラーニングです。ディープラーニングが登場したことによって、従来の人工知能に比べて圧倒的に精度の高い予測が可能になりました。
第二次ブームでは3層までの機械学習しかできなかった
ディープラーニングはニューラルネットワークを進化させたものと紹介しましたが、具体的にどのような進化を遂げたのでしょうか。じつは第二次ブームで登場したニューラルネットワークは、3層までの機械学習にしか対応できていませんでした。この「層」というのは、条件分岐のようなものとイメージすると分かりやすいと思います。
層が厚くなればなるほど細かな条件分岐が可能で、当然ながら精度も高くなります。ディープラーニングが4層以上の機械学習に対応したことによって、これまでのニューラルネットワークとは比べものにならないほどの精度を実現できました。
ディープラーニングで飛躍的に進化した技術とは?
多層ニューラルネットワークであるディープラーニングが登場したことによって、モノの微妙な違いを見分けることも可能になりました。
たとえば、画像データだけで「犬」と「猫」の判断をすることは人間にとっては簡単なことですが、コンピュータにそれを覚えさせるのは容易ではありません。それは、両者の顔や体のパーツはほとんど一緒であり、外見のわずかな違いから見分けなくてはならないためです。
Googleは2012年に「キャットペーパー」という論文を発表しました。これは、ある一定規模以上のニューラルネットワークであれば、人間のように自ら学習していくことができるというもの。子どもが猫の姿を見て、自然とそれが猫であると学習していくように、ニューラルネットワークも同様に自力で見分けることが可能であることを発見しました。
このように、プログラミングそのものが難しいものもディープラーニングによってコンピュータが自動的に判断できるようになりました。
人工知能の発展と未来への可能性
ディープラーニングを筆頭に人工知能関連の技術の発展により、人工知能実用の可能性もさらに広がってきます。「AI」という言葉が一般的に定着したいま、企業を中心に人工知能を積極的に取り入れた働き方を模索する動きも出てきています。
多くの企業で検討されている人工知能の用途としては、以下のような例があります。
- 経営における意思決定のサポート、
- 事務作業などの業務効率化
- 防災、防犯
- 品質管理
- 需要予測、マーケティング
- 売上予測
これらの例はいずれも仕事をサポートするという目的のために検討されているものですが、人工知能そのものを自社の製品に組み込んで販売しようという試みもあります。その中で、もっとも象徴的なのが「ロボット」や「自動運転技術」です。
ロボットは感情認識や音声認識、言語処理など、人間とのコミュニケーションがメインとなっていますが、物理的に人間をサポートするといった役割を担う未来も遠くないかもしれません。
また、自動運転技術はすでに実証実験が各地で行われており、一部の施設や地域では実用化に向けて動き出しているところもあります。人間の運転に比べてはるかに正確で効率のよい自動運転技術が広まることによって、痛ましい事故も劇的に減少していくはずです。
⼈⼯知能の開発に携わるために必要な知識や⾔語の学び⽅
⼈⼯知能の開発に必要な知識や⾔語
人工知能の研究や開発に関わるために必要な知識は、
- 人工知能についての基礎的および数学的知識
- 開発言語の知識
です。具体的には、以下のようなものになります。
・コンピュータサイエンスの基礎知識
人工知能は、コンピュータサイエンスの一分野です。したがって、人工知能の研究や開発をするためには、コンピュータサイエンスや科学全般の基礎知識が必要となります。もちろん、コンピュータサイエンスの基礎知識のなかには、人工知能や機械学習、ディープラーニングに関する知識も含まれます。
・数学の基礎知識
人工知識の開発に関わるためには、数学的な基礎知識が要求されます。人工知能を開発するために必要とされる数学は、第一に「線形代数」です。線形代数とは、行列の演算に関する数学です。
また、人工知能を開発するためには統計の知識も必要とされます。平均値や中央値、標準偏差、正規分布などの意味については、最低限理解しておきましょう。
開発言語
人工知能を開発するためには、開発言語を使用しなければなりません。人工知能の開発言語として最もよく使用されるのは「Python」です。汎用性が高いPythonは、人工知能だけでなくビッグデータの処理や分析にも向いているとされますので、習得しておいて損はないでしょう。
Pythonのほかに人工知能の開発言語として使用されるものに、40年以上の歴史を持つ汎用言語「C」と「C++」、およびPythonやCと同様に汎用性が高い言語である「Java」などがあります。
人工知能との関わり方別、必要な知識
人工知能を学ぶために必要な知識をすべて学ぶためには、大学の4年間でも足りないほどの時間がかかるのが一般的です。これから大学へ入学しようという人ならば、学部および大学院でしっかりと学べますが、すでに社会人として仕事をしている人などのばあいには、そこまで時間が取れないケースもあるかもしれません。
そのばあいには、以下のように、人工知能の開発にどのような形で関わるかによって必要とされる知識も変わってきます。
人工知能の研究がしたい人
人工知能やロボットの研究をし、重要な問題の解決をしながら新たな技術を生み出したいのであれば、上で紹介した知識のすべてが必要とされます。
人工知能の開発(プログラミング)がしたい人
人工知能に関しては、既存の技術を利用しながらシステム構築を実現することができる人材も強く求められています。そのような形で人工知能のシステム開発に関わりたいと思うばあいは、人工知能全般の知識や数学的な知識について多くは求められません。機械学習の知識および開発言語が習得できていれば十分だといえます。
人工知能の導入に関わりたい人
人工知能自体の研究や開発をするのでなく、既存のシステムに人工知能を導入することにビジネスのうえで関わりたい人もいるでしょう。そのばあいには、開発言語の知識までは要求されず、機械学習の知識があれば十分だといえます。
⼈⼯知能を学べる学校・企業
人工知能について学ぶことができる学校や企業がどこなのかを見ていきましょう。
1:人工知能が盛んな世界の国々
人工知能を学ぶためには、人工知能が盛んな国の学校や企業へ入学・入社することが有利だといえるでしょう。人工知能が盛んな世界の国々は、Times Higher Educationの調査による2011年~2015年までに発表された人工知能に関する論文の数から見ると、
1位 中国(約41,000件)
2位 アメリカ(約25,500件)
3位 日本(約11,700件)
4位 イギリス(約10,100件)
5位 ドイツ(約8,000件)
となります。
また、研究が盛んかどうかは、発表された論文の数だけではなく、それらの論文が他の論文からどれだけ引用されたかによっても判断することができます。人工知能に関する論文の国別の「引用率」は、やはりTimes Higher Educationsの調査によると、
1位 スイス(2.71)
2位 シンガポール(2.24)
3位 香港(2.00)
4位 アメリカ(1.79)
5位 イタリア(1.74)
となり、論文の発表数とはまったく異なる結果となります。
2:人工知能を学べる日本の大学

発表されている論文の数からいえば、日本の大学も、人工知能を学ぶためには有効な場所だといえるでしょう。大学で人工知能を学ぶには、国公立大学の理工情報工学部系へ入学することとなります。
以下であげる大学には、ユニークな研究を行う人工知能の研究者がいるとして知られています。
3:大学以外で学ぶ方法
大学以外で人工知能を学ぼうと思うばあいは、次にあげる方法があります。
AI人材を育成している企業での長期インターン
AI人材を育成している企業は多数あります。そのような企業で長期インターンをすることは、人工知能を学ぶための方法のひとつだといえます。人工知能について未経験者であっても、長期インターンとして受け入れをしている企業はたくさんあります。
プログラミングの専門学校
人工知能の開発エンジニアを養成することを目的とした専門学校が、近年続々と創設されていることがニュースにもなっています。専門学校在学中に「基本情報技術者」「応用情報技術者」などの資格を取ることもできます。専門学校は、具体的には次のようなところがあります。
e-ラーニング
動画を見ながら会話式などで学習するeラーニングでも、人工知能を学ぶことができます。仕事をしながら学びたいばあいにはおすすめだといえます。また、英語が得意な方なら海外の大学などで行っている無料の公開オンライン授業「MOOCs(ムークス)」を受講されてみてもよいでしょう。
世界の人工知能と人間との関係性を考える
身近なものから業務効率化まで。人工知能の日本での活躍
人工知能は全世界で活用が進んでいますが、日本国内ではどのような事例があるのでしょうか。いくつかの具体例として紹介していきましょう。
店頭業務(Pepperなど)
携帯電話ショップにおいて店員として働いているPepperを目にした方も多いのではないでしょうか。挨拶や来店目的のヒアリング、商品の紹介など、来店客とのコミュニケーションに一役買っています。期間限定ではありましたが、都内にPepperのみで携帯電話の販売を行う店舗も登場し話題になりました。
お客様サポート、相談、コールセンター
電話対応もAIによって効率化が期待される分野のひとつです。音声認識によって問い合わせ内容を事前にヒアリングし、言語処理機能によって文章化。それを会話前のオペレーターに引き継ぐことによって、スムーズなやり取りを可能にします。また、通話時間の短縮にも貢献するためコールセンターの混雑緩和にもつながるでしょう。
需要予測
小売業にとって正確な需要予測は売り上げや利益にも直結する重要なポイントです。天気や気温、湿度、季節によっても商品の売り上げは大きく変わるもの。複数の条件から人工知能が需要を予測することによって、販売機会のロスや過剰在庫といった悩みを解決するサポートをしてくれます。
スタイル提案
ファッション業界でも人工知能は活躍しています。希望するファッションアイテムの特徴をスマートフォンのアプリで指定することによって、その条件にマッチしたアイテムをコーディネートしてくれるというもの。大手アパレルメーカーがこのシステムを導入し、多くのユーザーから反響を獲得しています。
手書き帳票処理
業務効率化において大きな壁となるのが手書き帳票の存在です。手書きの書類をデータに移行するには膨大な手間がかかるものですが、言語処理によって手書きの文字がテキストデータに変換されるシステムが登場しました。99%以上という高い認識率を誇り、バックオフィスの業務改革に役立っています。
このほか、文部科学省も人工知能研究を推進するため、2016年に革新知能統合研究センター(AIP)を設置しました。このように、日本国内では官民一体となって人工知能の研究開発が進んでいます。
AIの恩恵を誰でも受けられる社会に。世界的に進化するAIプラットフォーム

AIが社会に普及していくためには、AIのプラットフォームの充実が欠かせません。プラットフォームが充実することによって、機械学習の知識を持たないユーザーでも手軽にAIを利用できるようになるためです。
AIのプラットフォームとはIBMの「ワトソン」やGoogleの「Cloud ML」、アップルの「Core ML」などが挙げられます。いわばAIのコア部分ともいえるもので、これをベースにさまざまなシステム開発が行われます。
このようなAIプラットフォームが充実すると、それらに対応したサービスも続々と誕生してきます。パーソナルアシスタントやスマートスピーカーなどはそれぞれのメーカーが独自で開発しているように、AIプラットフォームが増えれば増えるほどユーザーにとっての選択肢も広がっていくことになります。
また、AIのプラットフォームが充実することによってAIの開発環境も容易に整備できるようになり、導入のハードルも下がります。
ちなみに、AIプラットフォームを支えるものに機械学習ライブラリというものがありますが、これはAI用のプログラミング言語のようなものと考えていただくと分かりやすいと思います。
人工知能と人間と競争。RPA を始めとした代替技術
ホワイトカラーの業務効率化を目的として導入されているRPA(ロボティクスプロセスオートメーション)というシステムがあります。
RPAとはパソコンを使った業務をAIに覚えさせ、複数のアプリケーションでも横断的に処理を可能にするというものです。たとえば、以下のような一連のタスクもRPAであれば簡単に実行させることが可能。
① ブラウザで特定のWEBページを参照して品番を拾う
② スプレッドシートから品番を検索して価格を調べる
③ 品番と価格を請求書に入力して出力する
しかし、RPAはあくまでも定例的・定量的な業務しか対応できていないのが現状です。今後RPAにもAIが搭載されると、業務の改善案をAIが考えるということも可能になるでしょう。
定例的で単純な業務がなくなることによって、多くの労働者はより高い付加価値のあるクリエイティブな仕事を遂行することが可能になります。
人工知能と人間の共創。人間の機能拡張を目的とした代替技術
「人工知能の登場によって仕事が奪われる」というニュースを耳にする機会も増えてきましたが、果たして本当にそうなのでしょうか。
人工知能を研究開発している企業や研究機関は、ニュースで語られるような人間の仕事を奪うAIを開発しているのではなく、人間の機能を拡張することを目的にしています。
人間の大きな武器である「考える」力をいかしながら、単純作業から開放され、よりクリエイティブで人間にしかできない仕事をするために人工知能がサポートをするという考え方です。しかしながら、そのためには人工知能の倫理問題など、解決しなければならない課題も多く存在していることは確かです。
一方で、とくに日本国内においては深刻な労働力不足という現状もあり、人工知能の活用は避けて通れない道でもあります。限られた労働力のなかで高い生産性を維持していくためには、人間の機能を最大限まで拡張してくれる人工知能の技術は今後ますます必要とされてくるのではないでしょうか。人間と人工知能が今後どのように共存していくかを本気で考えなければなりません。
まとめ
人工知能をまるっと理解するためのポイントを整理しましょう。
まず、現在巻き起こっている第三次人工知能ブームの主眼は、ディープラーニング分野にあること。ディープラーニングとは弱いAI(特化型AI)研究の一種で、画像認識、音声認識などもこれに含まれます。
ブームの最中とはいえ、人工知能研究や開発、プログラミング必要なスキルセットを持っているエンジニアはごくまれ。大学などでの基礎教育の上に、スタートアップや大手企業による研究開発が推進されています。
注目を集め続ける人工知能。人間の生産性を最大化するパートナーとして、共存する未来を世界レベルで考えていく必要があります。
まずは、RPAなどを活用した業務効率化を図ることから検討してみましょう。
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