BLOG
(JP Only) Digital Transformation in Back Office – Legal Tech① “What is Legal Tech?”
これまでデジタルトランスフォーメーションのあり方や成功事例、さらにはAIやRPAを活用して自動化しやすい、バックオフィス業務におけるDX動向について取り上げてきました。
その中でも人事領域におけるDXについて5回に渡りご紹介してきましたが、今回からはシリーズ第2弾として、法務領域におけるDXについてご紹介していきたいと思います。
リーガルテックとは?
FinTech(金融xテクノロジー)や前シリーズのHR Techのように、様々な分野でテクノロジーの活用が注目されています。そんな中、LegalTech(リーガルテック)が注目される機会も増えています。リーガルテックとは、Legal(法律)とTechnology(技術)をかけ合わせた言葉で、法務領域に関連する問題をテクノロジーを活用して解決する手段を指すものです。
訴訟社会と言われるアメリカで最初スタートし、アメリカ・ヨーロッパではすでに数多くのスタートアップが登場し、大きなマーケットを形成しています。
その背景には、アメリカではコモンロー(先例主義)を採用しているため、法務領域は過去の裁判例に沿って作られていきます。そのため、膨大な裁判例を容易に検索・分析できることが非常に重要であるという背景があります。
日本でも、近年リーガルテック企業が様々登場し、電子署名や契約書のレビュー、フォレンジックなど様々なサービスが提供され始めています。
リーガルテックの必要性
ビジネスのグローバル化に伴い、現在法務部門が取り扱う業務は下記のように非常に多岐に渡るようになっています。
- 契約・取引関連
- 売買契約や秘密保持契約など契約に関わる審査・作成・締結など
- 組織関連
- 取締役会などの運営や定款の変更など
- コンプライアンス
- 社内ガイドラインの作成など
- 紛争対応
- 発生した問題への対応
- 国際関連
- 海外での現地法人設立など
- 知的財産・特許
- 自社の権利の保護、他社権利侵害の防止など
このように、法務の重要性が高まっており、仕事量も増えています。その一方で交渉など非定型の業務が多く、従来は効率化することが難しい状況でしたが、DXの波により、いよいよテクノロジーを導入し、法務業務のアウトプットを最適化することで、効率化を図れるような状況となっています。
リーガルテックの活用方法
従来までは効率化することが難しかったため、テクノロジーの導入によって、自分の仕事が奪われるのではないかと考える法務担当者もいるようですが、リーガルテックを活用することで、法務部の人材が本当に必要とされ、価値を出せるところに集中して、時間や力を使っていくことが可能となります。
例えば、何百ページにもおよぶ契約書の中にある何万もの大量の契約条項を、過去の事例と比較し違いを見つけるといった場合には、テクノロジーを使えばわずかな変更点でももれなく迅速に見つけ出すことが可能でしょう。逆に人間が行うとなると、膨大な時間を費やすことになります。
このように、テクノロジーに任せられる部分はテクノロジーに任せ、法務部の限られた人的リソースを本当に価値が出せる仕事に割り当てるということが重要です。
現在のAIでは、文書を検索したり、分析したりといったことまでは可能ですが、法務業務で本当に必要となる分析に基づき、どのようにすべきかという判断を行うことはできません。この判断を行うということが法務部のコアであり、テクノロジーはあくまでそれをサポートするものでしょう。
また上記のように、法務業務は多岐に渡るため、どこからリーガルテックを導入するかは各社によって異なるでしょうが、第1歩としては、繰り返し行う業務での活用が導入のハードルが低いのではないでしょうか。
次にリーガルテックの各業務での具体的な活用についてご紹介します。
契約書レビュー
契約内容に間違いがないか、自社に不利な契約となっていないかなど契約締結前のレビューは非常に重要です。しかも契約書は様々な部署からタイトな時間制限とともに、大量にまわってくることになるので、非常に神経を使う業務となります。
そこでAI契約レビューサービスを活用することで、抜け漏れや修正提案を行ったり、さらには過去に作成した契約書から必要な条文を検索し、提示できるものやレビューをだれがいつどのように行ったかを可視化することなどが可能です。
電子契約
契約を取り交わす際、紙の契約書に署名、押印し、相手方から署名・押印した契約書を戻してもらうというのが一般的だと思います。書面で契約書を交わすのは、種類によっては印紙税もかかり、膨大な手間とコストを必要とします。この書面による契約の手間とコストを削減するのが電子契約です。電子契約は、PDFファイルなどで契約書面を作成し、電子署名や電子サインによって締結するというものです。これにより、効率化、コスト削減はもちろんのこと、必要な時に素早く情報にアクセスでき、加えて契約書の紛失や盗難といったリスクも回避可能です。さらには物理的な紙を保管しなくていいため、保管のためのスペースがいらないといったメリットもあります。
デジタル・フォレンジックおよびリサーチ
フォレンジックとは、記録を収集して分析し、捜査や社内調査で法的分析の前提となる事実を発見することです。コンピューターやサーバー、スマートフォンなど様々な電子機器にある記録を収集、分析することが必要となりますが、テクノロジーを活用しなければ、そもそもデータを見つけ出したり、さらには削除されたデータを復元したりといったことが不可能になります。
また同じ調査の過去の判例などを調べるリサーチにおいても、テクノロジーは非常に重要な役割を果たします。日本では、判例や法令、法律専門書などの電子化がなかなか進みませんでしたが、最近ようやく電子化され始めています。これにより、従来は必要な情報を得るまでに非常に時間がかかっていたのが、より効率的に検索が可能となり、昨今増加しているリモートワークでも情報に簡単にアクセスできるなど業務の効率化をすすめることができるでしょう。
「バックオフィスにおけるDX」の第2弾の初回となる今回は、リーガルテックの定義や活用方法などについてご紹介しました。次回はリーガルテックの具体的な活用事例を取り上げていき、リーガルテックを通したDXについて考えて行きたいと思います。
AIを活用した文書のデータ化からDXを推進!
AI OCRを超える文書読取り&自動仕分け「SmartRead(スマートリード)」はコチラ>>